Code4Lib_AI&LibraryReference_20250907.pdf

tnanako64 146 views 11 slides Sep 07, 2025
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About This Presentation

This slide examines whether generative AI (Deep Research) can be applied to library reference services.


Slide Content

DeepResearchで
レファレンス業務は
可能か
2025年9月7日
Code4Lib Japan Conference LT
20250907 Code4Lib Japan Conference 2025LT 1
高橋菜奈子
(新潟大学 学術情報部長 )

DeepResearchとは
•2025年2月2日にOpen AIがリリース
•推論を使用して大量のオンライン情報を統合し、複数ステップ
のタスクを完了するエージェント。
•複数の情報源を検索、分析、統合してリサーチアナリストレベ
ルの総合的なレポートを作成。
•人間には何時間もかかる作業が 5~30分で完了。
•ChatGPT有料版( Proもしくは Plus,Team,Enterprise,Edu)で利
用可能。無料版でも 5回まで可能 <2025.8現在>
•数分待つだけで、ビジネスのレポートとしても利用できるレベ
ルとして話題に。
•https://openai.com/ja-JP/index/introducing-deep-
research/
20250907 Code4Lib Japan Conference 2025LT 2

Deep Researchを使ってみた!
(2025/08/20)
•ChatGPTのDeep Researchに「AI技術が図書館のレファレンスサー
ビスに与える影響について、 2020年以降の研究や議論をレビューし
てください。」と入れてみる。
➢待つこと 10分:英語のレポートが返ってきた!
•「日本の事例や日本語の論文を中心にリサーチしてもらえますか。出
力も日本語でお願いします。」と指示
➢待つこと 10分:日本語のレポート。 noteの一記事がベースになって
いる模様。
•「学術論文・学術的文献に基づくレポートとしてください。大学図書
館関連のものは重点的に拾ってください。 AI技術のうちでも生成 AIに
フォーカスしてもらうと、なお良いです」と指示
➢待つこと 7分:いくつかの論文をベースにしたレポートが出力された。
➢前回に比較すると良くなったが、言及されている論文が少ない。
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DeepResearchのレポートの評価
•1回目https://chatgpt.com/s/dr_68a5664e40688191ba56d37e43bef57c
•2回目https://chatgpt.com/s/dr_68a530e79d0c8191baa80c6649a59414
•3回目https://chatgpt.com/s/dr_68a566fa5fb88191823946f5ffc74b88
•情報源の信頼性
•3回目で、学術情報に限ったことで一定の水準を確保
(プロンプトエンジニアリングが重要)
•いわゆるハルシネーション(存在しない文献)はなかった。
本文に書き込まれた引用文献も適切に参照。
•情報の厚み
•意図していなかった海外の情報も幅広く収集
•ただし、網羅性のある情報の収集ではない
(レポートに必要な分だけ収集して終了しているフシがある)
•論点の整理
•集めた情報を整理して、順序立てて提示
•引用された論文がどのような基準で選ばれたかが不透明
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大学図書館でのレファレンスサービスの
特性
•前提:大学図書館=大学の教育と研究に資するための図書館
•学術的な学習・研究の支援
➢学術的な情報資源に対する信頼性の見極め
➢学術的な手続きに則った網羅性の確保
•情報探索の 教育支援の側面
➢「答え」を教えるのではなく、学生自身が「自分で答えに近づく方法」を
教える
➢時には、学生自身が「問いを探す」ことに伴奏する
•ナビゲーションの重要性
➢所蔵調査 を行い、情報を入手できるように支援
•ただし、単純な仕事であれば、将来的には代替できてしまうかも …。
➢専門家につなぐこともナビゲーションの一つ
20250905 東北学院大学図書館と生成 AIの連続勉強会 5

DeepResearchを
学術用途に活用するには?
•問題点
•調査の範囲が不透明で、 網羅的な文献調査にはならない。
•(アクティビティに経過は表示されるが …)どの情報をなぜ選んだかが示され
ない。文献調査ではなく、それらしい答えが見つかれば終了する情報調査。
•検証可能性や再現性が低い
•ハルシネーション の可能性。
•初期の頃よりは減っているが、必ず出力された情報の 信頼性のチェックが必要
•利点
•幅広めに情報収集をすることができる。 思いがけない論文の発見
•指定すれば、学術論文やデータベースに範囲を絞って収集してくれる
•観点を確認してくれたり、論点整理して提示されるので、論文構成の
検討ができる。
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情報の信頼性・網羅性・学術的な手続きに難があるが、
学術情報の初期探索、論文の概要把握、あるいは、テーマを
整理し、糸口をつかむのに有効

Deep Researchと図書館レファレンス
の違い
観点
Deep Research
(ChatGPTPlus)
図書館レファレンス
情報源
Web検索・文献データベー
スをAIが統合的に参照。
調査の対象範囲が不明
信頼性のある情報源を選定。
紙の図書も含まれる。
出典明示
出典が提示されるとは限ら
ない。正確かどうかも曖昧
文献に基づいて調査し、回答
には出典を明示
出力情報の信頼性
高度な検索精度だが誤情報
やハルシネーションのリス
クあり
信頼性と再現性を重視した調
査。ただし、キーワード検索
の限界性あり
回答のスタイル
文章生成が中心。論点を整
理してレポート形式で回答
回答時には文献を提示
ユーザーとの関係
最初には対話するが、レ
ポート作成中は自己完結型
対話を通じた伴走支援型
教育的配慮
基本的にはなし。全て答え
を教えてくれる
学習支援・調べ方指導に切り
替える場合がある
20250907 Code4Lib Japan Conference 2025LT 7
ChatGPTで作成したものを修正
AI


















DeepResearchも
レファレンス業務にうまく
生かしましょう!
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参考文献:レファレンス業務と生成 AIに
関する論文・記事
•【初期】レファレンスサービスへの応用例 <参考文献① >
•生成AIは何ができるか の検討
•実際にやってみた!という報告
•問題点の指摘
➢ハルシネーション の問題
※AIが事実に基づかない情報(もっともらしい嘘)を生成してしまう現象
➢学習された情報源の古さやバイアスの問題
➢著作権侵害のリスク、法的・倫理的問題。
•【現在】AIと司書の役割の位置づけ直しへ <参考文献②>
•人間が行う レファレンス業務への補助的役割 への期待
•図書館司書の情報専門家としての役割の協調
•図書館サービスとしての展開はまだ多くない
20250907 Code4Lib Japan Conference 2025LT 9

参考文献①
初期の議論
•青野正太 . 生成AIが図書館の情報サービスに与える影響<文献紹介> . カレントアウェアネス -E 463, 2023.9.
https://current.ndl.go.jp/e2626
•高橋菜奈子 . 図書館業務の四象限と生成 AI. Code4Lib Japan Conference 2023. 2023.9
https://wiki.code4lib.jp/wiki/C4ljp2023/presentation#lt24
•⾓⽥裕之ほか . 生成AIによる情報サービス演習問題に対する回答の評価 . 日本図書館情報学会研究大会発表論文集 no. 71,
2023.10, p. 57-58. https://jslis.jp/wp-content/uploads/2023/10/2023-annual-meeting-proceedings-
202310.pdf
•日本図書館情報学会 . 第71回日本図書館情報学会研究大会シンポジウム記録 : 生成AI時代における図書館員の役割 . 日本
図書館情報学会誌 70 (1), 52-64, 2024.3. https://doi.org/10.20651/jslis.70.1_52
•相場洋子 . れふぁれんす三題噺 (その306)国際教養大学中嶋記念図書館の巻 生成AI時代のレファレンスサービスとは . 図書
館雑誌 117 (11), 704-705, 2023.11.
•⾓⽥裕之 . 生成AIを活用・評価した授業 . 図書館雑誌 118 (2), 64, 2024.2.
•中島玲子 . 生成AIとは何か、図書館における協働の可能性 . 図書館雑誌 118 (5), 251-255, 2024.5.
•高橋菜奈子 . 図書館業務での生成 AI活用の可能性 : 図書館業務の四象限と変化へのアプローチ . 図書館雑誌 118 (5), 256-
259, 2024.5
•丸山高弘 , 荒川知樹 . 山中湖情報創造館における対話型 AI導入について : 対話型生成 AIをレファレンスサービスのツールと
して導入した事例の紹介 . 図書館雑誌 118 (5), 260-262, 2024.5.
•吉本龍司. 生成AIを活用した「蔵書検索サポーター」の実証実験 . 図書館雑誌 118 (5), 263-267, 2024.5.
•丸山高弘 . 公共図書館における AI技術の活用と展望 . 情報の科学と技術 74 (8), 310-314, 2024.8.
https://doi.org/10.18919/jkg.74.8_310
•吉本龍司 . AI時代の図書館サービスのインターフェース . 薬学図書館 69 (2), 73-77, 2024.8.
https://doi.org/10.11291/jpla.69.2_73
•篠塚富士男 . 生成AIと図書館サービス . 武蔵野大学司書課程・司書教諭課程たより 20, 2-8, 2024.12.
https://mu.repo.nii.ac.jp/records/2000493
•レファレンス事例集 (NO.163). ILL依頼事例における生成 AIのハルシネーション . 医学図書館 71 (4), 217-218, 2024.12.
•安藤幸央.公開授業記録 :生成AIと図書館の未来 . St.Paul'slibrarian 39, 1-13, 2025.3.
https://rikkyo.repo.nii.ac.jp/records/2001722
•⾓⽥裕之 . 図書館における生成 AI活用の可能性 . 明治大学図書館情報学研究会紀要 16, 26-39, 2025.3.
http://hdl.handle.net/10291/0002001629
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参考文献②
現在の議論
•小林明生 . AIを使ったレファレンスサービスの新たな取組み . 薬学図書館 69 (2), 82-88, 2024.8.
https://doi.org/10.11291/jpla.69.2_82
•中崎倫子 . AI時代における図書館と司書の役割 . 薬学図書館 69 (3), 106-112, 2024.12.
https://doi.org/10.11291/jpla.69.3_106
•中崎倫子 . パスファインダー概説:情報過多の時代における役割と意義 . 情報の科学と技術 75 (3), 94-99, 2025.
https://doi.org/10.18919/jkg.75.3_94
•欅惇志. 自然言語検索 : 検索エンジンのパラダイムシフト . 情報の科学と技術 75(1), 7-12.2025
https://doi.org/10.18919/jkg.75.1_7
•川島隆徳 , 青池亨, 原⽥隆史 . 言語モデルと図書館資料検索 : 国立国会図書館サーチにおけるケーススタディ . 情報の科
学と技術 75 (1), 13-18, 2025. https://doi.org/10.18919/jkg.75.1_13
•青野正太 . 生成AIとレファレンスサービス:変わること、変わらないこと . 第20回フォーラム「生成 AIはレファレンス
サービスに何をもたらすか」 , 2025.2.20. https://crd.ndl.go.jp/jp/library/documents/forum20_1.pdf
•高橋菜奈子 . 図書館業務での生成 AI活用の可能性: AI司書との対話 . 第20回フォーラム「生成 AIはレファレンスサービ
スに何をもたらすか」 , 2025.2.20. https://crd.ndl.go.jp/jp/library/documents/forum20_3.pdf
•原⽥隆史 . 発表1 生成AIの基礎と図書館における ChatGPTの利用. 図書館界 76 (6), 337-349, 2025.3.
https://doi.org/10.20628/toshokankai.76.6_337_2
•青野正太 . 発表2 生成AIが図書館業務に与える影響(私論) . 図書館界 76 (6), 349-355, 2025.3.
https://doi.org/10.20628/toshokankai.76.6_349
•矢⽥竣太郎 . 動向レビュー :生成AIを用いた文献調査ツール . カレントアウェアネス 363, 6-10, 2025.3.20
https://current.ndl.go.jp/ca2079
その他:生成 AI以前も含む
•齋藤泰則 . ヴァーチャルレファレンスの展望:レファレンス質問と自動化に関する考察を中心に . 情報の科学と技術 72
(1), 18-23, 2022.1. https://doi.org/10.18919/jkg.72.1_18
•林和弘. オープンサイエンス政策と研究データ活用で変わる学術情報流通サービス,およびレファレンスサービスの変容 .
情報の科学と技術 72 (5), 160-163, 2022.5. https://doi.org/10.18919/jkg.72.5_160
•小野亘. 生成AI騒動と図書館 . 大学の図書館 43 (3), 40-42, 2024.3.
https://www.daitoken.com/publication/kaiho_OA/202403.pdf
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