昭和100年で考える日本人の精神変遷:「志士型」から「個人型」への転換 小室正紀

gakumon 0 views 12 slides Oct 04, 2025
Slide 1
Slide 1 of 12
Slide 1
1
Slide 2
2
Slide 3
3
Slide 4
4
Slide 5
5
Slide 6
6
Slide 7
7
Slide 8
8
Slide 9
9
Slide 10
10
Slide 11
11
Slide 12
12

About This Presentation

昭和100年で考える日本人の精神変遷:「志士型」から「個人型」への転換

昭和という時代の精神的転換点

昭和100年を迎えるにあたり、私たちは日本人の精神性が大きく変化した歴史的な転換点を見つめ直す必要がありま�...


Slide Content

新学問のすゝめ推進会議 第6回シンポジウム
中高年世代と日本の可能性
~昭和100年日本の課題~
日時:令和7年6月1日
場所:慶応義塾大学三田キャンパス研究室棟 A会議室
主催: 新学問のすゝめ推進会議
昭和100年における精神の変遷を考える
本会会員
小室正紀

人間の型=それを支える精神の変化
•昭和50年代ぐらいを境に、
日本人の主流となる精神が大きく変わってきたのでは?
•それを取り敢えず名付けると、
昭和前期(まで)型:江戸時代後期からの連続
昭和後期(から)型:平成以降への連続
⇒昭和の真ん中辺で日本人の主流精神は大きく変わる

昭和前期(まで)型
「社会全体の利益や目的に
自発的にコミットすることで
生き甲斐を感じる」
精神

「国益」概念の登場:十八世紀後半
•「国益」は漢語ではなく 18世紀後半に登場した日本語
「主家」「主君」のためではなく「藩」全体の利益を考える
(藤田貞一郎 『国益思想の系譜と展開 』1998年)
•忠誠対象が、「お家」「主君」から「藩」という「公」
「藩」全体の利益のためには、「主君」への諫言を辞さない
(丸山真男『忠誠と反逆 』1960年)

幕末から明治・大正・昭和へ
•幕末の「勤王の志士」
脱藩してさらに大きな全体である日本の進路にかかわろうと
•明治〜昭和戦前
日本国の発展・近代化が正統路線=「公」よなる
職業・地位は、より深くこの目的に関わるか否かで評価
そのような職業・地位につくことが生甲斐
有能な若者への期待:「末は博士か大臣か」

圧倒的「公」を前にする近代日本の苦悩
•「公」は自分たちが作ったものではなく、
あらかじめ設定されている
•森鴎外型 :「公」と「私」の分裂しながらの並存
•夏目漱石型:「公」の正当性が強い社会で「私」を模索
•永井荷風型:「公」からの脱落者として生きる美学
(山崎正和『鴎外ー闘う家長ー 』1972年)

昭和戦後〜高度経済成長
•戦後の社会目標:経済復興・経済的豊かさ
•経済・企業人として勤勉有能であることが、
社会全体の目的と矛盾しない

高度経済成長の成功と全共闘運動
昭和40年代頃
•高度経済成長の成功
⇒経済復興・経済的豊さという切実な目標が見えにくくなる
⇒企業に入ることに疑問を感じる若者も出てくる
•目標を見失ったエネルギーのやり場のなさ
⇒強引に社会的正義を設定し、その目標達成のために爆発
•ただし、企業・組織という「公」へコミットを生き甲斐とする
精神もつづく(私たちの世代)

ここまでは
幕末「勤王の志士」だけではなく
昭和40年代までは
「社会全体の利益や目的に
自発的にコミットすることで生き甲斐を感じる」
という意味で
「志士の時代」
であった

昭和後期(から)型
•昭和前期型:自発性がありながら全体志向的
•昭和後期型(あるいは平成型)
個人主義的でありながら自発性がない:ミーイズムの時代
個人主義的であり「公」への志向が弱い
「公」と「私」間の心の中で緊張がない
「公」の強さに接すると、引き篭もる場合も

いかなる精神を育むべきか
•たった一人でも、荒野のなかで開拓をし、自分と家族を支える
=強烈な個人主義
•自分一人では、より豊かでより幸福な生活に向かえない
⇒他者との協力(=「公」)が必要であり、そのために尽くす
『大草原の小さな家 』のインガルス一家
『シェーン』のジョー・スターレット
•「私」を基礎とした「公」の意識

ご静聴
ありうがとうございました
Tags