ルワンダにおけるマールブルグウイルス病(MVD)アウトブレイクのゲノム解析とその意義

ministudinfo 1 views 2 slides Feb 17, 2025
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2024年9月にルワンダで報告されたマールブルグウイルス病(MVD)のアウトブレイクは、歴史上3番目に大きな規模でありながら、致死率は約23%とこれまでの事例と比較して低いものとなりました。本研究では、患者18名から得�...


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ルワンダにおけるマールブルグウイルス病(MVD)アウトブレイクのゲノム解析とその
意義
概要
2024年9月にルワンダで報告されたマールブルグウイルス病(MVD)のアウトブレイクは、歴史上
3番目に大きな規模でありながら、致死率は約23%とこれまでの事例と比較して低いものとなりま
した。本研究では、患者18名から得られたウイルスゲノムを解析し、ウガンダで2014年に報告さ
れた症例と近縁の系統であることを確認しました。ゲノムデータは、本アウトブレイクが**単一の
動物由来感染事象(ズーノーシス)**から発生し、人から人への伝播は限定的であったことを示
唆しています。 感染経路と疫学調査
本アウトブレイクの発端となった患者(インデックスケース)は、エジプトルーセットオオコウモリ(
Rousettus aegyptiacus)が生息する鉱山洞窟での作業中に感染した可能性が高いと考えられ
ています。血清学的検査の結果、この患者の接触者3名が免疫グロブリンG(IgG)および免疫グ
ロブリンM(IgM)に陽性であり、動物由来感染の可能性がさらに強まりました。
ウイルスの進化と系統解析
本研究では、ルワンダのアウトブレイクで検出されたウイルスが、2008年以前にウガンダのコウ
モリ集団内で分岐した系統であることを明らかにしました。これまでの研究から、MARVはウガン
ダ南西部のコウモリから定期的に分離されており、今回のルワンダでのアウトブレイクは長期間
にわたる動物間のウイルスの移動によるものと推測されます。
医療機関における感染拡大
本アウトブレイクでは、医療従事者間での限定的な二次感染が確認されました。特に、最初の患
者が入院した病院(H1)では、9月22日から28日までの間に26名の医療従事者が感染し、その
後、別の病院(H2)にも波及しました。ウイルスのゲノム配列には極めて少ない変異しか見られ
ず、これは急速に拡散したことおよび単一の感染源から発生したことを示唆しています。
公衆衛生への影響と今後の課題
本研究の結果は、MVDの発生源を特定し、感染拡大を抑制するための公衆衛生対策の重要性
を示しています。特に、ウイルスの宿主であるコウモリの調査を強化し、動物由来感染のリスクを
低減することが求められます。今後、ウガンダとルワンダのコウモリ集団をより詳細に調査するこ
とで、ウイルスの生態的ネットワークや新たなリスクの特定につながると考えられます。

広報向けまとめ
ルワンダで発生したマールブルグウイルス病(MVD)のアウトブレイクについて、最新のゲノム解
析により感染源と感染経路が明らかになりました。本研究では、感染が単一の動物由来(コウモ
リ)であること、人から人への感染は限定的であったことが示されました。また、ウイルスの進化
を追跡することで、ウガンダ南西部のコウモリ集団との関係も明らかになりました。

このような研究は、ウイルスの拡散経路を理解し、今後の感染症対策を強化するために不可欠
です。特に、動物と人間の接触が多い環境では、感染症のリスクが高まるため、適切な監視体制
が重要となります。当研究会では、ウイルスの進化や感染経路に関する最新の研究を追い続
け、今後の感染症対策に貢献することを目指しています。