NPOブルーアース- 福島訪問の歩み(おもしろ理科教室2013年-2024年 )

福島訪問記を2024年12月に発行

1. ＮＰＯブルーアース 福島訪問 記

おもしろ理科教室
２０１３ 年 − ２０２４ 年の歩み















相馬市桜丘小学校 近くの相馬中村神社







特定非営利活動法人 ＮＰＯブルーアース
２０２４年１２月１日

2. 1
目次
１ 福島訪問（２０１３年－２０２４年）を振り返って 2
２ 桜丘小学校を起点とした７小学校訪問の経緯 2
２－１ 相馬地区-桜丘小学校 2
２－２ 浪江地区 -浪江小学校・津島小学校 2
２－３ 新地地区 -駒ケ嶺小学校 2
２－４ 南相馬地区 -小高小学校 3
２－５ 南相馬地区 -太田小学校 3
２－６ 大熊地区 -学び舎ゆめの森 3
２－７ 総括 3
３ 東日本大震災後１３年間の街や学校の変化 4
４ 助成金をいただいた企業様への感謝 5
５ お世話になった先生方や児童からのメッセージ 6
６ 福島の小学校訪問に付随して訪れた施設 7
（付属資料１ ) ２０１３年～２０２４年 福島訪問の年表 8
（付属資料２ ) 第1回-第11回 実施したおもしろ理科教室の内容 9
（付属資料３ ) 訪問先の地図 9
（付属資料４ ) 思い出の写真 10
編集後記 11

3. 2
１ 福島訪問 （２０１３年－２０２４年）を振 り返って

２０２３年にＮＰＯブルーアースは創立２０周年を迎えました。
創立１０周年を記念して始めた２０１３年の福島県相馬市立桜丘小学校の「おもしろ
理科教室」も２０１９年には、南相馬市立小高小学校、新地町立駒ケ嶺小学校にまで
広がりました。コロナ禍で迎えた２０２０年の訪問はかないませんでしたが、横浜か
ら福島へネットで繋ぎ、遠隔でＺｏｏｍを活用した理科教室も開きました。
２０２１福島訪問を再開し、２０２４年で１１回目の「おもしろ理科教室」となり
ました。訪問先として、第１１回では、南相馬市や・大熊町の２小学校も加わり、こ
れまでの訪問校は７校となりました
これまでの１２年に亘る福島の小学校との交流をこの冊子にまとめました。


２ 桜丘小学校を起点 とした７小学校訪問の経緯

２－１ 相馬地区-桜丘小学校
ＮＰＯブルーアースの １０周年の記念事業として、
東日本大震災復興支援活動を２０１３年度から始め
ました。
２０１３年６月、 福島県相馬市立桜丘小学校に出向い
て「おもしろ理科教室」を２日間かけて、４年、５年、
６年生と科学クラブの児童 (２６３人 )に授業を行 い
ました。前日、授業を行った ６年生から「楽しかった」
という感想文を受け取り 、講師陣一同大変感動 しまし
た。
２０２４年は、 １０回目の桜丘小学校訪問となり、
その間に校長先生や担当の先生も転校されましたが、
転校先からのお誘いもあり、他の小学校の訪問へのき
っかけとなりました。
(*) 桜丘小学校は、「相馬野馬追」で有名な妙見 3社の一つ「相馬中村神社」の近く
です。

２－２ 浪江地区 -浪江小学校・津島小学校
２０１８年、桜丘小学校の元教頭先生のつながりで、津島・浪江小学校が二本松市
に疎開して授業を行っていること をお聞きし、 そこで出前授業を行 いました 。児童数
は３年、４年、５年生が一人ずつで３ 人でしたが、講師にとっても貴重な体験でした。

２－３ 新地地区 -駒ケ嶺小学校
２０１９年、桜丘小学校の先生のつながりで相馬郡新地町立駒ケ嶺小学校でも“お
もしろ理科教室”を始め ました。参加児童数は、５ ー６年生で５３人で した。
２０２０年 コロナ禍で福島訪問を断念しましたが、駒ヶ嶺小学校は、 児童が全員タ
ブレットを持ち、先生もリモート教室に熱心 でしたので、５ー６年 生５０人に対し Ｚ
ｏｏｍによるオンライン授業 を実施し ました。

4. 3

２－４ 南相馬地区 -小高小学校
２０１９年、津島小学校の元校長先生 のつなが
りで南相馬市立小高 区４小学校(現小高小学校 )に
出向き、初めての 「おもしろ理科教室」 を実施し ま
した。３年、４年生で参加児童数は１６人で した。
２０２０年 コロナ禍で福島訪問を断念しました
が、３年生８人 とＺｏｏｍ による オンライン授業
を実施し ました。
(*) 小高小学校は、「相馬野馬追」で有名な妙見
３社の一つ「相馬小高神社」の近くです。

２－５ 南相馬地区 -太田小学校
以前の 桜丘小学校の先生のつながりで、 ご紹介いただき、２０２４年 南相馬市立太
田小学校に出向き、初めて「おもしろ理科教室」を実施し ました。３-４年と５ -６年
生に分かれて２講座行い、 参加児童数は ３４人でした。
(*) 太田小学校は、「相馬野馬追」で有名な妙 見３社の一つ「相馬太田神社」の近く
です。

２－６ 大熊地区 -学び舎ゆめの森
大熊町の 学び舎ゆめの森に連絡をとり、２０２
４年度に初めての訪門が実現し ました。３-４年
と５-６年生に分かれて２講座行い、 参加児童数
は１８人でした。のびのびと 学ぶ素晴らしい環境
と先生方 の熱心さ に感嘆し ました。
(*) 大熊町立「 学び舎 ゆめの森 」は、２０２３
年に開校した ０～１５歳の子どもたちがとも
に遊び、学び、さらに地域の方々とも協働して
いく学び舎です。

２－７ 総括
東日本大震災被災地域での復興支援活動として２０１３年から始まった、相馬地区
での「おもしろ理科教室」は、桜丘小学校から始まり、 先生方のご紹介もあり 周辺の
小学校７校に拡大しました。また 、この活動の 趣旨に賛同いただく支援者の方々にも
恵まれ、２０２ ４年には、第１１回目の開催となりました。今まで、ご協力いただい
た相馬地区小学校の先生方、活動の構築に尽力された会員の皆様のおかげと感謝申し
上げます。
福島訪問は、 NPOブルーアースの最も重要な活動として、今後も続けていきたいと
思っています。

5. 4
３ 東日本大震災後１３年間の街や学校の変化
l ２０１３年大震災２年後の訪問
相馬市は福島県浜通りにあり、海に面した地域では、大震災の被害 の大きい所で
した。桜丘小学校は海から離れて位置し、市内の中心部に近く市役所などの行政地
区で、相馬中村城址にも近 く、学校に津波の被害はなかったものの地震により体育
館が大きくダメージを受け、建て直しの最中で した。当時は震災後の復旧で工事業
者が手当てできず工事は中断してい ました。ホテルはビジネスホテルを利用し まし
たが、工事業者が多く満室で した。街中に人口の割には多い飲み屋街があったのも、
工事業者が対象 だった ようです。
私たちは、相馬市のほんの一部しか接していないため、全貌について語ることは
できませんが、相馬市は人口も ３万ほど、落ち着いた城下町であり、城址には天守
閣はありません が、お堀が町中に張り巡らされており、年配の人が小船を操りなが
ら、水草を刈ってい ました。
常磐線が不通となっていて、相馬に行くには新幹線で福島に行き、そこからバス
で山越えして 1時間半掛かる状況 でした。しかし、そのバスは、常磐線の復旧とと
もに廃止と なりまし た。
l 大震災後 、２度にわたる地震の被害
相馬市は、大震災後震度 ６強の２度の地震に見舞われてい ます。
２０２１ 年２月の地震の 被害はさほど大きくはなかった ですが、２度目の２０２２
年３の地震は 震源も近く、 桜丘小学校の高架水槽が壊れて校舎が水浸しとなり、校
舎の張り出し部分のコンクリートは大きくひび割
れずれてしま っていました 。
道路も多くの被害を受け、車道は復旧しても歩
道の部分まで手が回らないらしく、現在も波打っ
ているような歩き難い部分もあ りました 。
お堀の水は以前より少なくなっており、水草は繁
りそれを刈り取る人も 今はいません 。
相馬神社の灯篭などは、 ２０２２ 年の地震でほ
とんど倒れ、それが ２０２３ 年もそのままにさし
置かれてい ましたが、２０２４ 年に完全に復旧した
ことが確認でき ました。
l 相馬野馬追
相馬と言えば「相馬野馬追」。 相馬中村神社は相馬地区の出発点で す。数年間は、
この中村神社のそばに厩舎があったが、臭気とか衛生面で好ましくないということ
で、今はなくな りました 。当時は、中村神社周辺で馬に乗っている人を見かけたも
のですが、残念ながらスケジュールの関係で私たちは未だ見る機会が ありません 。
一度ぜひ観たいものです。
l 避難地からの 帰還と復興
２０１１年の東日本大震災において、福島の浜通り の市町村 は、原発事故 の影響
を受けて 復興や避難地からの帰還 に時間がかかりました。 相馬市は、福島原発から
５０ｋ ｍ離れてい て小学生も多いですが、 相馬市より原発に近い、南相馬市、浪江
町の小学校の 児童数は、まだまだ少ないです。大熊町は、 ２０２２ 年にやっと 特定
復興再生拠点区域の避難指示解除 が出て、帰還が始まってまだ ２年です。 整備が進
みつつある特定地域に帰還者だけでなく、復興支援の方々、新たな移住者も一体に
なって新たな街づくり中です 。

6. 5
４ 助成金をいただいた企業様への感謝
ＮＰＯブルーアースは、 ２０１３年度から１０ 周年記念事業として、東日本大震
災被災地復興支援 の一環で、毎年福島県の小学校の現地に出向いて「おもしろ理科
教室」を実施し、現在も継続中です。ただし、その運営経費の捻出に苦労をしてき
ており、助成事業をされている団体に申請し、採択されて貴重な助成金で何とか賄
ってきました。相馬地 域の小学校向け「おもしろ理科教室」を実施するにあたり、
外部団体あるいは企業に助成金の申請を行い、２０１６年度には日本文具財団様、
２０１８年度はキリン福祉財団様、２０１９年度は大塚商会ハートフル基金様から
助成いただき活動を続けることができ ました。しかし、これらの助成は単年度に限
られており、継続は不可能 でした。
２０２０年 、いろいろ 助成いただける 団体について調べていたところ、東京応化
科学技術振興財団様の助成事業の目的とＮＰＯ ブルーアースが被災地復興支援の活
動と合致し、 「科学教育の普及・啓発助成」 を申請し幸いにも採択さ れました。さら
に継続申請が可能であるとのことから、 ２０
２０年度 (「第15回科学教育の普及・啓発助
成」)の助成から２０２４ 年度（「第１９回科
学教育の普及・啓発助成」 ）まで連続 ５回助
成を受けて、相馬地域の小学校の子ども達
（相馬市立桜丘小学校、新地町立駒ケ嶺小学
校、南相馬市立小高小学校）に「おもしろ理
科教室」 の実施が可能とな りました 。本理科
教室は、学校の理科授業の一環 として位置付
けられ、子ども達に楽しんで授業を受けても
らっており、先生方からも 感謝のメッセージ
をいただいてい ます。
これらの 助成金交付により、相馬地域の７
つの小学校で 「おもしろ理科教室」を 継続実
施でき ました。 東京応化科学技術振興財団様
をはじめ、助成いただいた各企業様に感謝申
し上げます。

7. 6
５ お世話になった先生方や 児童からのメッセージ
＜ 桜丘小学校の 先生からの 寄稿文 ＞

ＮＰＯブルーアースが２０周年の記念すべき節目を迎えられ、「２０周年記念誌」
が発刊されますことに、心よりお祝い申し上げます。
本校では、平成２５年に、創立１０周年記念行事として「おもしろ 理科教室」が
初めて開催され、それ以来長年にわたり子ども達の学びを御支援いただきました。
様々な現象を人間の理屈で考える科学は難しい内容を含みますが、講師の皆様が、
図や模型を用いながら丁寧に説明をしてくださり、本事業を通して子ども達の科
学的な見方・考え方の基礎を養うことができました。
本市では、 東日本大震災や近年の相次ぐ自然災害からの復興・創生の過程に
ありますが、皆様からの御支援・御協力に対する感謝の気持ちを忘れることなく、
困難な状況の中で培われてきた他者との対話や協働を通した学びを、更に充実・
発展させてまいります。
未筆な がらＮＰＯブルーアースの一層のご発展と皆様方のご活躍を祈念いたし
まして、お祝いの言葉とさせていただきます。
相馬市立桜丘小学校 校長 木村裕之


＜桜丘小学校の 児童からのメッセージ＞

8. 7
６ 福島の小学校訪問に付随して訪れた 施設
２０２３年度と２０２４ 年度の福島訪問の機会を活用して、 小学校訪問メンバー
の有志で 震災遺構やエネルギー関連 施設の見学を行いました 。
・震災遺構 浪江町立請戸 小学校（２０２３ 年）
・東日本大震災・原子力災害伝承 館（２０２３年）
・福島水素エネルギー研究フィールド （２０２３年）
・東北電力柳津地熱発電所と奥会津水力館（２０２４年）
これらの見学を通して 、大震災による 被害のすさまじ さ、復興の様子、東北地方
のエネルギー事情、新エネルギーへの意気込み等を学ばせ ていただきました。


７ 今後の活動について
ＮＰＯブルーアースの創立１０周年を機に始まったこの取り組みも今では、ＮＰＯ
ブルーアースの年間主要行事として、主目的の相馬地区小学生への理科教育の啓発は
もちろんの事、会員間の相互理解・融和の場としても有意義な行事となって います。
今後も、今までに築いてきた人脈・機縁を大事に育てて、継続していきたいと思って
います。

< ＮＰＯブルーアースの活動 >
現在の活動は、 「おもしろ理科教室・環境教室」、「Ｅ＆Ｅセミナー＆見学会」、「オー
プンサロン」 の３つが柱となってい ます。
理科教室は２０１０年から、 「Ｅ＆Ｅセミナー」 は２０１４年から、 「オープンサロン」
は２０１３年から始ま りました。
（１）理科教室は、現在では 「おもしろ理科教室」 と呼んでおり、地球環境関連に特
化した環境理科教室を「おもしろ環境教室」として実施してい ます。また、当初
は小学生が対象で したが、「大人の理科教室」「大人の環境教室」として大人を対
象にした教室も行って います。
（２） 「Ｅ＆Ｅセミナー」 は、エネルギー＆エコロジーの正確な情報を提供すること
で、参加者の知見を高めるセミナーから始まり、テクノエコツアーや見学会、Ｅ
＆Ｅセミナー (防災)という形で幅広く展開してい ます。
（３） 「オープンサロン」 は、外部からの参加者も含め 誰でも参加できる情報交流の
場・幅広い話題提供の場と して毎月1回継続して開催してい ます。

9. 8
（付属資料１ ) ２０１３年～２０２４ 年 福島訪問の年表
年 月 経緯 支援人数
2011年3月 東日本大震災 （震度7)
2013年6月 第1回 福島訪問 相馬市立桜丘小学校
(*)NPOブルーアースの 10周年
にあたり、 東日本大震災の被災地の小学校訪問を計画
３名
2015年6月 第2回 福島訪問 相馬市立桜丘小学校 ３名
2016年5月 日本文具財団の助成を受ける
2016年6月 第3回 福島訪問 相馬市立桜丘小学校 ４名
2017年6月 第4回 福島訪問 相馬市立桜丘小学校 ６名
2018年5月 キリン福祉財団の助成を受ける
2018年6月 第5回 福島訪問
・相馬市立桜丘小学校
(*)浪江町の避難先への訪問を追加
・浪江町立浪江小学校・津島小学校（避難先 二本松市)
７名
2019年6月 第6回 福島訪問
・相馬市立桜丘小学校
(*)相馬近辺の ２小学校を新たに追加
・新地町立駒ケ嶺小学校・南相馬市立小高小学校
８名
2019年7月 大塚商会ハートフル基金の助成を受ける
2020年3月 東京応化科学技術振興財団の助成を受ける
・「第15回科学教育の普及・啓発助成」

2020年11-12月 第7回 オンライン開催 (新型コロナ禍で Zoomによるリモート授業 )
・新地町立駒ケ嶺小学校・南相馬市立小高小学校
４名
2021年2月 福島県沖地震 (震度６強)
2021年3月 東京応化科学技術振興財団の助成を受ける
・「第16回科学教育の普及・啓発助成」

2021年11月 第８回 福島訪問
・相馬市立桜丘小学校 ・新地町立駒ケ嶺小学 ・南相馬市立小高小学校
８名
2022年3月 福島県沖地震 (震度６強)
2022年3月 東京応化科学技術振興財団の助成を受ける
・「第17回科学教育の普及・啓発助成」

2022年6月 第9回 福島訪問
・相馬市立桜丘小学校・新地町立駒ケ嶺小学・南相馬市立小高小学校
６名
2023年3月 東京応化科学技術振興財団の助成を受ける
・「第18回科学教育の普及・啓発助成」

2023年6月 第10回 福島訪問
・相馬市立桜丘小学校・新地町立駒ケ嶺小学校・南相馬市立小高小学校
7名
2024年3月 東京応化科学技術振興財団の助成を受ける
・「第19回科学教育の普及・啓発助成」

2024年6月 第11回 福島訪問
・相馬市立桜丘小学校・新地町立駒ケ嶺小学・南相馬市立小高小学校
(*)南相馬市・大熊町の２小学校を追加
・大熊町立学び舎ゆめの森・南相馬市立太田小学校
９名

10. 9
（付属資料 ２) 第1回-第11回 実施したおもしろ理科教室の内容


（付属資料 ３) 訪問先の地図

11. 10
（付属資料 ４) 思い出の写真

12. 11











編集後記

NPOブルーアースは、昨年おかげさまで創立 20周年を迎えました。 10周年(2013
年)の前に東日本大震災があり、 10周年を機に福島の小学校訪問を開始しました。
訪問先の先生方、助成金をご支援いただいてきた団体様・企業様、また、いろい
ろな形で NPOブルーアースの活動を応援してくださっている皆様に、深く感謝申
し上げます。
今後とも、ご支援をよろしくお願いいたします。
（編集委員一同）






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< ＮＰＯブルーアース 福島訪問 記 >
発行年月日 ：２０２４ 年１２月
編集委員：持田典秋、瀧本憲一、猪股勲、三竿郁夫