成長と人的資本経営、企業特殊的人的資本、一般的人的資本、そしてイノベーション.pptx

takahashihiroki530 0 views 9 slides Oct 24, 2025
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About This Presentation

人的資本についてまとめたプレゼンテーションです。


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成長と人的資本経営

人的資本とはなにか 人的資本: 人の生産能力の源泉となる才能や知識、経験、体力など。投資によって成長さ せられる。“一般的人的資本”と“企業特殊的人的資本”に分類できる。 人的資本経営: 人的資本を最大限に引き出すことで中長期的な企業価値の向上につなげる経営 出所:小野浩( 2024 ) 『 人的資本の論理 』 、西村あさひ法律事務所編( 2025 ) 『 サステナビリティ大全 』 他 一般的人的資本 企業特殊的人的資本 市場性と汎用性が高く、どの企業でも 価値を生み出す人的資本 (学歴、教育年数、各種資格など) ある企業内でしか生産性をあげられない人的資本 (企業独自の業務ルール、事務知識、人間関係など) 親和性のある雇用 ジョブ型雇用(スペシャリスト) メンバーシップ型雇用(ゼネラリスト) 賃金決定 成果主義 年功主義 教育訓練 Off JT OJT 人材ニーズへの対応 外部から調達(組織は開放的) 内部から調達(組織は閉鎖的、新卒重視) 人の流動性 高い(雇用期間は短い) 低い(雇用期間は長い) イノベーションとの 親和性 高い(社内外の知の新たな組み合わせを創造しやすい) 低い(社内の知の習熟に止まる)

生産関数:成果の方程式 人的資本の成果は、才能、属性の影響、能力(努力)の影響、運に分解して考えることができます。 企業全体の人的資本を高める上で、どのようなアプローチをとるかの切り口になります。 Y Z X     生産関数のイメージ 人的資本投資のアプローチ例 α への投資 Z への投資 β への投資 X への投資 学歴や資格をシグナルとして才能の高いメンバーを採用 業界内の人脈を考慮したエキスパートの採用や社外研修などを通した人脈作りの支援 企業ビジョンへの腹落ちやメンバーの希望する業務への挑戦を通して、能力を最大化 能力の高いメンバーに集中して業務経験を積ませる、大学院での学習時間を与える 出所:小野浩( 2024 ) 『 人的資本の論理 』 他

人的資本における運の効果 Koizumi(2024) が日本のボートレース選手の成績を対象に行った研究では、デビュー期(デビュー後5大会以内)に高性能のエンジンを割り当てられた選手群(運のいい選手)は、その後の1位獲得数、累積賞金、市場退出率などで、比較対象の選手群(運の悪い選手)と比べて有意に差が見られます。 これは、キャリアの初期段階での偶然が長期的な格差につながる可能性を示唆しています。 出所: Koizumi_2024_How Much of Merit is Due to Luck ? Evidence on the butterfly effect of luck 運のいい選手 運の悪い選手 市場退出率 1位獲得数 経験 年数 経験 年数

日本型賃金と生産性 従来の日本型賃金(年功賃金制度)では、企業特殊的人的資本を蓄積した従業員を長期雇用することが想定されており、ある時点で支給される賃金が市場賃金を上回る状況が指摘されています。 出所:小野浩( 2024 ) 『 人的資本の論理 』 他 年齢・勤続年数 賃金・ 生産性 20 歳 60 歳 40 歳 市場賃金 実際の賃金 (企業内賃金) 市場賃金よりも実際の賃金が低いため転職の動機になる 市場賃金よりも実際の賃金が高いため社内に残る動機になる 日本型賃金の特徴 従業員の生産性観測は困難という前提にたち、勤続年数(経験年数)を主要な評価指標とする 企業特殊的人的資本が重視され、この蓄積が少ない時点では市場賃金よりも低い賃金しか支払われない 一定の年齢以上になると、一般的人的資本の陳腐化(劣化)により、人的資本の市場価値(市場賃金)は低下するが、支払われる賃金は増えるため、市場賃金と実際の賃金の逆転が発生する 企業にとっては、一定の年齢以上の従業員の雇用が「負債」となる場合がある

適度な離職率(最適な流動性仮説) 最適な流動性仮説( Optimal Turnover Hypothesis ) では、企業業績と離職率は逆 U 字の関係にあり、企業業績を最大化する離職率は高い離職率と低い離職率の間と考えられています。 山本、黒田( 2016 )は、日本企業を対象とした実証研究において、売上高利益率と離職率の間に逆 U 字型の有意な関係が確認できたと指摘しています。 出所: 山本、黒田 _2016_ 雇用の流動性は企業業績を高めるのか:企業パネルデータを用いた検証 最適な流動性のイメージ   推計モデル   α がプラス、 β がマイナスになっていれば、上に凸の逆 U 字型になる

人的資本経営の目指す姿 経済産業省が取りまとめた人材版伊藤レポートでは、人的資本経営の方向性が示されています。 出所:経済産業省( 2022 ) 『 人的資本経営の実現にむけた検討会報告書(人材版伊藤レポート 2.0 ) 』 、 西村あさひ法律事務所編( 2025 ) 『 サステナビリティ大全 』 他 “人的資源・管理” 人的資源の管理、オペレーション志向 「投資」ではなく「コスト」 “人事” 人事諸制度の運用・改善が目的 経営戦略と連動していない “人事部” 人材関係は人事部任せ 経営戦略との紐付けは意識されず “内向き” 雇用コミュニティの同質性高い 人事は囲い込み型 “相互依存” 企業は囲い込み、個人も依存 硬直的な文化になりイノベーション生まれにくい “囲い込み型” 終身雇用や年功序列 囲い込み型のコミュニティ “人的資本・価値創造” 人的資本の活用・成長、クリエーション志向 「投資」であり、効果を見える化 “人材戦略” 持続的な企業価値の向上が目的 経営戦略から落とし込んで策定 “経営陣 (5C) / 取締役会” 経営陣のイニシアチブで経営戦略と紐付け 取締役会がモニタリング “積極的対話” 人材戦略は価値創造のストーリー 投資家・従業員に積極的に発信・対話 “個の自律・活性化” 互いに選び合い、共に成長 多様な経験を取り込み、イノベーションにつなげる “選び、選ばれる関係” 専門性を土台にした多様でオープンなコミュニティ 人材マネジメントの目的 アクション イニシアチブ ベクトル・方向性 個と組織の関係性 雇用コミュニティ Not This But This

一般的人的資本投資への対応 人的資本経営では、一般的人的資本への投資が推奨されていますが、一般的人的資本の蓄積は転職リスクを高めるとの指摘もあります(大湾 2017 )。 「選び、選ばれる関係」の構築に向けた具体的な対応として以下が考えられます。 出所:大湾秀雄( 2017 ) 『 日本の人事を科学する 』 、小野浩( 2024 ) 『 人的資本の論理 』 他 資格手当 重点的な人的資本投資 カウンターオファー アルムナイ 有能な人材の差別化 市場性、汎用性の高い資格を取得した従業員の給与水準を、当該資格保有者の労働市場での給与水準まで引き上げる 研修を、選抜された有望な人材のリテンション(引き留め策)とリワードとして実施する(学費補助なども含む) 社外からオファーを受け取った従業員に対してカウンターオファーを提示して引き留めを図る 退職した元社員(アルムナイ)のコミュニティーを作り、出戻り採用を制度化する、社外での経験(人的資本)の活用にもつながる 有能な人材が活躍できる高度専門職トラックを設ける 従来のメンバーシップ型雇用とジョブ型雇用のハイブリット

人的資本投資とイノベーション イノベーションの源泉として“知の探索 exploration ”と“知の深化 exploitation ”のバランスよい実践が重視されています(両利きの経営 ambidexterity ) 。 “知の探索”は一般的人的資本と、“知の深化”は企業特殊的人的資本と親和性があります。 出所:チャールズ・オライリー、マイケル・タッシュマン( 2022 ) 『 両利きの経営 』 他 知の探索(新しい知の追求) 自社にないアイディアを探求する 異分野との接触、未経験領域への挑戦が伴う一般的人的資本への投資と親和性が高い イノベーション 知の深化(知っていることの活用) 自社のビジネスを磨き上げる(効率化や改善) 自社固有のノウハウの蓄積、深掘りを行う企業特殊的人的資本投資と親和性が高い