楽しい読書のひみつ One Night Stand vol.9 (ライトニングトーク)

nyana93 22 views 37 slides Oct 22, 2025
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About This Presentation

楽しい読書とは何か,また,読めない本を読むためにはどうしたらよいかについて調べて考えました。


Slide Content

楽しい読書のひみつ
One Night Stand vol.9
2025/10/21
かどめ

自己紹介
•名前: かどめ
•職業: 大学院生
•専門領域 : 脳科学(脳波・MRI)
•将来の夢 : 医学博士と臨床検査技師
•繰り返し 4回読んでも最後まで犯人が
わからなかった本がある
なんだよ
この本…

定期開催されるビブリオバトル

みなさん

読書は好きですか?

好きといえば好きだけど …
•本のなかにも好みがある (カテゴリ・著者 )
•読めなかった本もある
•もっと本を読んでる人は他にたくさんいる
➢自分は「読書好き」だと自称できるだろうか?
•でも,本を読んで楽しかった経験はある!
•自分のペースで本を読むのは心地いい!
➢楽しい読書は好きかもしれない!

マイベスト難読書はこちら

引用: 青空文庫






























































つらすぎ

楽しい読書がしたい!

楽しい読書とは?
•すっと入ってくる
•面白く興味深く読める
•はっと気づくことがある
•読んでよかったと思える
➢読書の快適さ・読書による快感が重要っぽい
➢心理学的にいえば,それが 報酬となりうる状態

ただし,
いくら内容が面白くても

すっと読めないと
面白さに辿り着けない!

楽しい読書とは?
•すっと入ってくる
•面白く興味深く読める
•はっと気づくことがある
•読んでよかったと思える
➢読書の快適さ・読書による快感が重要っぽい
➢心理学的にいえば,それが 報酬となりうる状態
読書の入り口として
重要な要素なのでは?

読解流暢性
(Reading fluency)

読解流暢性とは
•「文の句切り・著者の文章構成や単語配列の規
則への従属・表現力といった プロソディ (韻律)
を適切に伴い, 正確にかつ速く読むこと 」
•プロソディは音声学用語
流暢な音読をする際に必要なアクセント・イン
トネーション・リズムなどの韻律が, 黙読時に
も必要ということ
•しかし,プロソディはあくまで読解流暢性の側面の
一部であり,大事なのは正確にかつ速く読むこと
(Hudson et al., 2008)

文章を正確にかつ速く読めるときは
1.言葉に対する視覚的,音声的,意味的,文脈的
な処理が 並列的に機能し,単語を解読し文字か
ら意味を導き出している
2.語彙知識により単語の処理を 自動化している
3.文章読解の自動化により「一目で単語を読む」
ことができている
➢効率的な処理を並列に行う こと
でスムーズに読解している状態
(Adams, 1990; Hudson et al., 2008)
(Hudson et al., 2008)
(Ehri, 1992; Hudson et al., 2008)

単語を一目で読むとは
コーヒー テロワール
こちらの単語の方が
当たり前のようにイメージが沸き,
意味も理解もできる (処理が迅速 )
こちらは未知の単語のため,
読めるにもかかわらず
イメージが湧かずに意味もわからない
(処理が遅い・詰まる )

すっと入ってくる楽しい読書とは
•自分の語彙知識に合った既知の単語が多い
•自分が有する知識量の多いテーマを好んで読んでい
る(本のジャンル・内容のカテゴリ ) ?
•自分が読む時のプロソディ (アクセント・イント
ネーション・リズム )に合った文章構成である
•自分が話す・書くときの文章構成と似た文体の著者
を好む?
…可能性があるといえます!
そういう本に出会えるといいですね

ここからは,筋肉が脳味噌で
できたようなゴリゴリの話をします

では,読解流暢性を
向上させるには?

読解流暢性が低下するパターン
•未知の単語の意味を解読できない場合,読解の
速さが低下する
•その解読過程が効率的でない場合,読解の速さ
が低下する
•認知的負荷が高くその処理過程を用いなくなる
ため,読解の正確性が損なわれる
調べて解読できた!
効率的でないが頑張って解読した!
(Hudson et al., 2008)
やっぱり読めませんでした

例外
未知の言葉の解読が認知的に高負荷でも続けた場合 …

常軌を逸する
\これが博士課程じゃーい/

しかし,方法としては
まんざら悪くもない

読解流暢性の向上可能性
•言葉の意味に 注意を払いながら 大量のテキスト
を読むと,文章理解が自動化されていき,読解
流暢性が発達するという仮説
•プロソディ (アクセント・イントネーション・
リズム等 ) に注意を払いながら 行う文章読解も,
結果として読解流暢性を高めると考えられる
•単語を読む 反復機会を通じ単語の認識力が向上
•単語の認識力を容易にするための理解力も向上
未知語に
注意を払う
反復により
既知語になる
単語処理が
自動化される
(Hudson et al., 2008)
(Jenkinsetal.,2003; Hudson et al., 2008)

具体的な方法例
1.単語の意味に注意を払いながら, 黙読・音
読・メモを取る・書き写す
•後者になるほど認知的負荷が高く時間がかかるが,目が文章
を滑らなくなる
2.もちろん,わからない単語は調べる
•AIにより簡易な説明は容易に検索可能,ただしハルシネー
ション(誤情報生成 ) の可能性に留意すること
3.単語が一目で読める ようになるまで 反復する
未知語に
注意を払う
反復により
既知語になる
単語処理が
自動化される

もうちょっと
気楽な方法

引用: 青空文庫 ドグラマグラ

注意のスポットライトを実際に作る
•物を見るときは,視界中の全てが見えているの
ではなく,頭のなかでスポットライトを当てて
一部分を見ている
•読書時に注意のスポットライトを再現したデザ
インを用いると読書への 没入感(集中= 注意) が
高まる
➢没入感により単語に注意が向き,読解流暢性
が向上すると考えられる
(Posner et al., 1980)
(中島ら, 2021)
注意部分の白黒
コントラストが高い
デザインが効果的

つまりこういうこと?
①下敷きなどで注意の
スポットライトを再現
②1周目は未知の単語と
その意味をメモする
③メモを見ながら
2周目を読む
没入感・
未知語への注意
未知語を
既知語へ
反復による
自動化

もし試したら
結果を教えてください

脳科学的
根拠による補強

読解と注意のネットワークが重要
•18個のfMRI研究をメタ分析した研究は,読解流
暢性を要する課題中の脳活動を明らかにした
•読解ネットワーク
•文章を速く読む際に活動
•物の意味認識に関連
➢一目で単語を読む自動化
に重要といえる
•注意ネットワーク
•集中すべきものに注意を
向ける際に活動
•目的のための注意制御に
関連
➢没入感・未知語への注意
に重要といえる
注意ネットワーク 読解ネットワーク
島 中心前回 中側頭回 上頭頂小葉 下後頭回
(Lee & Stoodley, 2024)

まとめ:
すっと入ってくる楽しい読書には
➢自分の知識にある単語 と,自分と類似したプロ
ソディ(アクセント・イントネーション・リズム )
の文章構成が多用されている可能性がある!
➢没入感・未知語への注意 ・単語を一目で読む 自
動化が重要!
➢注意のスポットライト を再現し, 反復的に読む
ことで,読めなかった文章が読めるようになる
可能性がある!
5・6回目のチャレンジで
読めたら報告します!